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ベトベン

『演奏家というものは、舞台の上では芸術家でなくてはならない。そんなピアニストはごくわずかだ。(By.シューラ・チェルカスキー)』という話を以前ここでしました。しかし、その芸術家という言葉の意味が、私はつい最近まで良く理解出来ずにいたのです。

テクニックが十二分に優れているということ、レガートの歌い方がため息が出るほど美しいということ、洗練された音が簡単に出せるということ、透明感のあるフォルティッシモ、潤いのあるピアニッシモが出せるということ…。
トップクラスのピアニストの優れた技術を言い出したらホントにキリがありません。でも、真の芸術家になれるピアニストっていうのは、そういうような技術を持った人だけを指しているのではないと思うんです。

先日、私の師匠のベートーヴェンソナタ全曲演奏会がありました。今回でこのシリーズはファイナル。本当の終楽章だったわけです。
ベートーヴェンのソナタを全曲演奏したピアニストは、長い歴史の中でほんのごくわずかなんだそうです。日本ではまだ1ケタ台。5~6人らしいです。先生は3年かけて、そのピアニストの1人になりました。
先生の演奏は毎回パワフルです。一音一音の力量が半端じゃない。繊細であってロマンチックで透明な響き、それでいて力強くて奥深く幅広い音色…。あのスタインウェイ、あんな音したっけ??終始驚きと感動の連続でした。風邪をこじらせていてカナリ辛そうでしたが、全曲一切手を抜くことなく弾ききったのです。胸にこみ上げるものが我慢し切れなくて、演奏中(それも1曲目で)涙が鼻水に変わりました(笑)。ずっとすすってました。すみません、先生…(笑)。

先生のピアノを聴いていて改めて気付きました。
演奏というものは、奏者が心の底から音楽を楽しんで弾いていないと、聴衆に自分の音楽なんて絶対に伝わらない。私なんてただガツガツ弾いてただけ。楽しもうとはしてるけど、ただただ必死で…ホントは何も見えていなかった。すごく簡単なことなのに、いつの間にか忘れていた一番大切なこと。深く反省しました。

自分の音楽がちゃんとできる人、心から音楽を愛し楽しんで弾ける人が本当の芸術家であると私は思っています。そして何よりも人柄。いくら優れたピアニストであっても心が乏しい人は、華開いてもすぐに忘れ去られてしまうでしょう。
私もいつか本当のステージに立てるように常に自分を磨いていきたい。何年、何十年かかっても少しづつ近づけていけたら…☆
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by nami73-pma | 2005-11-30 13:01 | Concert